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齊藤剛
学部長
総合理工学科 機械工学系 齊藤 剛
幅広い学びと、深い思考を、50年の伝統の基で
~SDGs、Society5.0に貢献する学び~

 受験生の皆さん、本学の母体である明星学苑は本年2023年に創立100周年を迎えました。その中で本学開設当初よりある理工学部は開設50年を越え、多くの卒業生を社会に送り出してきました。卒業生は学んだ専門分野を生かし、様々な方面で活躍しています。
明星学苑創立100周年と時を同じくして理工学部も新しく生まれ変わりました。今年度から学問分野の壁を超えた学際領域の学びに対応するため、総合理工学科をそのままに学系を廃止し、物理学コース、化学・生命科学コース、機械工学コース、電気工学コースの4コース、2年生で前述の4コースから1コースを選び配属されるフレキシブルコースを新たに開設しました。2年生からの4コースの中には複数の専門プログラムを用意しました。この専門プログラムとは言葉の通り、より専門的な学問領域を集中的に学習します。これにより個々の学生が求める専門性の高い将来の就職を可能にしていくでしょう。
 理工学部に入学すると1年では総合理工学科の共通科目の「理工学概論」、プロジェクト型体験学習である「理工実験実習」、Society 5.0 for SDGs(SDGs:持続可能な開発目標)やDX(デジタルトランスフォーメーション)や脱炭素化社会を目指したGX (グリーントランスフォーメーション)の導入としての「持続型社会と開発倫理」などの授業により、幅広い考え方(学ぶ意欲)と理工系の基礎的感覚を身に付けます。2年後期から専門プログラム基礎科目、3年前期に専門プログラム応用科目を学習しより深く専門領域を追求していきます。3年後期からは卒業研究に向けたゼミ配属が行われ、卒業研究を通して総合力・実践力そして深い思考に磨きをかけます。また、同時に3年後期には他コースの専門プログラムも履修が可能となり、幅広く学問分野を学ぶことにより現代の多様な科学技術に対応できるような工夫がなされています。その他、理工学部では、理科および数学の教員免許を取得するための教職課程(コース別教科指定)も用意しており、卒業時に教職免許を毎年10名以上取得しています。2022年度は9名(内、期限付き3名)の教員採用試験2次試験合格者を出しました。また臨時採用の学生も含め、2023年4月より全国で中高教員として活躍します。各種専門分野の資格取得に向けた講座なども準備されています。また、明星大学には、理工学研究科(大学院)もあり、さらに深い学びを望んでいる学生は進学し、実力を高めています。
新入学生の中には、まだ将来の道筋が明確になっていない学生も多くいます。そのため理工学部においては、新しくフレキシブル入試を用意しました。フレキシブル入試とはコースを選択することなく入試を行い、合格すると1年生の間に「理工学概論」や各コース概論の授業を通して各コースを見渡し、2年生で自分の行きたいコースを選択できます。君たちのやりたい学びがきっとあります。
理工学部の専門科目は原則、対面授業で実施されています。2020の4 月から新型感染症対応で緊急的に始まったオンライン授業ですが、その中には対面授業を超える高い学習効率が確認された授業もありました。理工学部ではオンライン化することで学習効果の上がる科目については、ハイブリッド化するなど新しい学びの形を追求しています。 
 このように、明星大学理工学部では様々な体験が入学する君たちを待っています。また私達は、学生の皆さんに最大限のサポート体制を用意し、また、学びの仕掛けをいろいろと作っています。理工学部総合理工学科で人生において大切な大学生活4年間を体験しませんか。

■新入生へのメッセージ(2023年4月)

 新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
 近年、新型感染症の流行による社会的課題が数多く発生しています。皆さんも、思い描いてきた高校生活とは全く異なる生活を強いられてきたことと思います。その中で理工学部の授業は原則、対面形式に戻っています。学生の皆さんの顔を実際に見ながら授業できることは、教授者にとっても喜びです。
 厚生労働省より本年3月13日以降、マスクの着用は個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断が基本となりました。また、本年5月8日からコロナ新型感染症の分類は2類相当から5類、つまり季節性のインフルエンザと同じ扱いに変わります。これにより、また社会が変わっていくことでしょう。その中で新入生の皆さんの行動も大きく変化していくと思われます。今までの反動から、また、新しい環境になってハメを外してしまいそうになる学生も出てくるかもしれません。しかし、学生の第1の本分は勉学に励むことです。自分のなりたい将来を想像して、そこに向かって最短距離になるように勉学に励んでください。そのための助けとなるのが教員です。教員も学生と同様に自分を磨くべく自身の専門の研究を進めています。協働してお互いを高めあっていきましょう。
 もちろん大学に来る意味は勉学だけには留まりません。友人を作り人脈を広げていくことは、卒業し社会に出てから非常に役に立ちます。中学・高校と異なり大学ではある程度分野が絞られた学部学科に入学します。そして多くはその分野にかかわる就職をすることになります。そうすると競合他社に大学時代の友人がいることも少なくありません。社会に出てから知り合った友人はどうしても自分の所属する組織の関係が前に出がちですが、大学時代からの友人はその関係を凌駕します。そのような友人は自分の組織の損得を超えて必ず本当の助けになってくれるでしょう。ですから大学時代の友人は大切なのです。
 4月から始まる新生活は不安も大きいかもしれませんが、それを上回る期待のほうが大きいでしょう。かけがえのない仲間に出会うかもしれません。私たち明星大学理工学部の教職員一同は全力で君たちをサポートしていきますので、困ったことや迷ったことがあれば何でも頼ってください。そして、一人も欠けることなく笑顔で卒業を迎える日が来ることを切に願っています。 

田代 充
研究科長
化学専攻 田代 充
皆が学べる開かれた大学院をめざして

 最近では大学への進学率が58%を超えるようになり、近年の学士課程修了者の進学率も理系で約40%になりました。長い歴史を通して先人たちが積み上げてきた英知を学び、さらにこれを超えて新たな発見や開発をしていくためには、大学院でさらに学ぶことが必要になってきたからでしょう。明星大学は早くから大学院教育の充実を進め、大学院理工学研究科は現在6専攻科を有する大きな組織となっています。
 大学院での勉学の特徴は自ら求めて学ぶ場であるということです。日本の、そして世界の先端分野で研究・開発が進んでいる新しい知識や技術を学ぶことや、自らが発見し考案した成果を学術論文や斬新な設計にまとめることはとても楽しいことです。もちろん先人たちが積み上げた知の高みに登り、前人未到の領域に分け入るためには相当の努力と能力が必要で苦しみも伴いますが、格別な達成感を感じることができます。教員も研究に対しては始めから正解を持っているわけではないので、学生の予想もしない視点や成果に感心させられることも少なくありません。明星大学大学院理工学研究科では、多くの大学院生が学会発表を行い、その準備段階も含めて教員と学生の距離が近く、親密な師弟関係のもとで研究活動ができます。また国際化する社会に貢献できる学生を育てるため、多くの学生に海外での研究発表の機会を与えており、支援体制も充実しています。
 一方社会が求める大学院の使命も日々変化しています。高度な専門分野を深く学び習得することは、変わらず必要ですが、多様に細分化する学術・学際分野を関連付けて融合させ、新たな学術分野を創生することも求められるようになりました。その使命に応えるために、理工学の基礎知識も幅広く身に付け、顕在化する新たな問題に対して柔軟に対応できる実践力を修得することも必要でしょう。また、理学の分野においては目先の実利にとらわれず、長期的な視点に立って真理を極める研究に取り組むことも大学院の大切な使命のひとつであることを忘れてはいけません。
 最後になりますが、明星大学の理工学研究科は社会人の皆様にも広く門戸を開いています。地域の企業や地方自治体で実践的な技術開発や分析調査、行政業務に携わってきた社会人の皆様には、その経験を学術的な成果にまとめる場として本学を活用していただきたいと思います。

■大学院新入生へのメッセージ(2023年4月)

 理工学研究科へようこそ。御入学・御進学おめでとうございます。大学教育を終えさらに大学院で学ぼうとする皆さんは、学部の4年間では吸収しきれなかった高い専門知識を、本学の恵まれた環境で修得してください。近年学問の体系が深化し細分化している中、社会は高度な知識と技能を習得した人材を求めています。学生の皆さんはこの社会的要請に応えられるよう勉学に取り組んでください。そのために、まず博士課程前期(修士課程)の2年間の計画として、達成しようとする具体的な目標を立ててみてはどうでしょうか。
 大学院の勉学は発見や創造を伴う「楽しい」ものです。大学院の学究生活の成功の秘訣は「おもしろがること」にあると思います。これまでの常識を覆す結果や、難しい課題の解が得られた時は、それはもう「ワクワクドキドキ」します。この「ワクワクドキドキ」があれば、日々の勉強や研究も苦にならないと思います。最初は必要な知識や技術を高めることに精一杯でも、徐々に自分の創意工夫が生かされて、先端の専門分野で活躍できるようになるでしょう。教員も皆さんと一緒に研究できることを楽しみにしています。