物性化学研究室(西條研究室)

物性化学研究室では,「磁性を示す分子」の合成と,それを用いた磁性結晶の開発・解析を行っています.身の回りにある磁石は金属やその酸化物でできていますが,実は有機化合物や錯体(金属イオンに,さまざまなものが配位結合した分子)を使っても磁性体を作ることができます.それら「分子からできた磁性体」(分子性磁性体)は,通常の磁石には無い非常に変わった性質を実現できることが知られており,例えば磁場をかけると超伝導になる物質(普通は磁場をかけると超伝導は破壊されてしまう),特定のガスを吸着すると磁性が激変する物質,磁場をかけると電気抵抗が激減する物質,光をあてると磁石になる物質,などが知られています.このように面白い磁性体を数多く生み出している「分子性磁性体」ですが,磁石になる温度が極低温に限られるという大きな弱点が問題です.西條研究室では,分子間でより強い相互作用を実現できる(=高い温度で磁石になる分子性磁性体が作れる)新分子を目指し,日々新たな分子の合成に取り組んでいます.

 

実験室では,主に新規錯体やその配位子の合成を行っています.一般的な有機合成で用いるエバポレーターやドラフト,オイルバスや遠心分離機などが並んでいます.さらに,反応途中で分解しやすい化合物を経由することも多いため,分子の分解を防ぐための低温実験装置(-80 ℃程度に冷却し,分解反応を抑制した状態で反応を行う)が4台と,その際に水や酸素が存在しない条件下で合成を行うための高純度Arガスのラインを設置.また,電気分解により磁性をもつ有機物を発生させることもあるため,1 μA以下の微小電流で電気分解を行うための定電流電解装置を5台手作りし利用しています.

 

こちら部屋は学生室です.この部屋で卒研生(4年生)は研究のための資料を調べたり,合成の計画を立てたり,就活をしたりしています.また,時には研究室で鍋パーティーをやったり飲み会が開かれたりするなど,ちょっとサークルや部活の部室に近いところもあるのが大学の研究室です.

 
 
 
 

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