この文書は今回の震災に伴う計画停電に関する FAQ (よくある質問とその答え) を提供することを目的としています。 厳密な正確性よりも一般向けに分かりやすさを優先しています。 【日本の電力システムの基本的考え方】を読んでからQ&Aを読むことをおすすめします。
事故や落雷等,システムを不安定にするあらゆる可能性を計算し考慮して,電力を安定的に供給しています。
(参考: 電気事業連合会/停電時間国際比較)
電力設備や発電の効率を良くして電力のコストを低く抑えています。家電製品と同等の効率・コストで考えてはいけません。
(例: 変圧器の効率 99 % 以上,参考: 資源エネルギー庁/電気料金国際比較)
この非常事態にあっても,様々な技術的工夫により電力の品質は高く維持されています。この目的において定期点検も重要です。
(品質が悪い=電圧/周波数が変動)
3/16 に東京電力が発表した最大供給電力 3,300万 kW に対して最大電力需要予測は 3,800万 kW でした。何もしなければ供給電力が足りません。できるだけ節電して,それでも足りなければ,停電させるしかないのです。震災前後の発電可能電力の詳細は以下です。
総計 6,400万 kW の設備に対して最大供給電力は 3,200万 kW 程度となります。他社からの電力融通 100万 kW を勘案すると大体計算は合っているようです。
【3/23追記】

一部の電気エネルギーは揚水発電所のダムの水として貯蔵されます。しかし,原子力発電による安いエネルギーと組み合わせなければコストが合いません(以下参照)。また,NAS電池等の定置用電池は負荷の平準化を目的として運用されていて蓄電には寄与しません。
(参照: 通商産業省資源エネルギー庁/総合エネルギー調査会原子力部会議事録(1999))
東京電力に隣接している電力会社は,中部電力,東北電力です。東北電力の発電設備は東京電力の 1/4 であり,さらに,震災により同様に電力が不足しており,余裕はありません。中部電力では周波数 60 Hz の電力が供給されており,そのままでは東京電力の地域に送ることができません。
中部電力との間には3か所の周波数変換所があり,これを経由すれば西日本からの応援受電を受けることができるのですが,既に能力限界の 100万 kW を受電しており,これ以上の増加は望めません。西日本での節電はあまり意味を持たないということになります。
電気は「発電即消費」ですので,基本的に発電されている電力と消費している電力はほぼ等しくしなければなりません。発電と消費のバランスが崩れると周波数が変動します。需要の変化に合わせて発電所の出力を調整して周波数を安定させています。
安全の為に原子力発電の出力調整はせず,火力/水力発電所の出力を調節します。しかし,発電する電力を大きく変えるには30分から数時間を要するので,事前の需要予測に基づいて発電量を調整しています。
事故や災害等によって需給バランスが大きく崩れた場合には,発電機の故障を避ける為に発電機を系統から自動的に切り離すか(供給離脱),供給不足なら需要側を切り離す(負荷離脱)=停電させます。現在のような供給不足の時に一か所で供給離脱が発生すると,他の発電所から電力を供給しようとしますが,そこの送電系統の能力も超えている場合には,供給離脱が発生します。このように,次々と発電所が停止していくと,大規模停電になってしまいます。
(参考: Wikipedia/過去の大規模な停電)
電力の需要は平常時であれば昨年や昨日の実績からある程度正確に予測可能ですが,この非常時では難しくなっていると考えられます。例えば,電車を止めれば,その直接的な需要減だけでなく,それに伴う経済活動の減少(工場の操業停止など)の影響も考えられます。よって,大規模停電を避ける為には,計画停電実施時は平時よりも短い期間で予測計算を行う必要があります。ただし,この状況のデータが蓄積されてくれば予測は早くなると考えられます。
全体的なダメージを少なくすることを優先して,電力系統の観点から区域を分けています。これを無視すると,安定に停電させて,安定に復帰させることが難しくなります。行政区分(市町村)とは電力系統区分は一対一には対応していません。
実際に冷蔵庫(200L,空)を用いて実験したところ,扉の開閉をしなければ 3 時間程度の停電であれば十分保冷が可能であることが分かりました(2~3℃程度の上昇)。また,庫内に食材などを沢山入れておく方が熱容量が増加し保冷に寄与します。ただし,通電時に冷やす場合には冷えにくくなる=冷やす為に必要な電力量が増加しますのでご注意下さい。一方,冷凍庫については,停電後 3 時間内に 0 度を超えてしまいました。凍ったものは解けてしまうかもしれません。
電気代を安くする(エネルギー消費を減らす)ための節電と,計画停電を避けるための節電はそのやり方が大きく違います。
停電させないためには需要電力のピークを供給可能電力以内に抑えることが必要です。
各家庭でできる対策は以下の通りです。