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松本 一嗣
MATSUMOTO, Kazutsugu

有機合成化学,生体触媒化学

教授・理学博士

居室:29-1108
研究室:30-B109
mkazu(以下@chem.meisei-u.ac.jp)

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プロフィールとメッセージ

 平成3年3月に慶應義塾大学大学院理工学研究科後期博士課程化学専攻を修了し、理学博士の学位を取得しました。その後、基礎科学特別研究員として、理化学研究所有機合成化学研究室に所属しました。平成5年10月より福井大学工学部生物化学工学科(現・生物応用化学科)の助手に着任。初めて東京を離れて一人暮らしを経験しました。その間、福井工業高等専門学校非常勤講師を兼任したり、平成10年3月から文部省(現・文部科学省)在外研究員としてカナダ・トロント大学化学科(Prof. J. Bryan Jones研)での留学体験もしました。特に、カナダの大都会トロントでの生活は忘れがたいものです。平成12年10月より、本学理工学部化学科(現・生命科学・化学系)でお世話になっています(平成20年度より早稲田大学非常勤講師兼任)。
 研究分野は基本的には有機合成化学で、「環境にやさしい有機合成」をキーワードに、いろいろ幅広く研究していくつもりです。なかでも、バイオテクノロジーを有機合成に活用した、生体触媒化学 (Biocatalysis Chemistry)を中心テーマとしています。「生体触媒」とは、酵素及び微生物,さらには未分化の植物細胞(カルス)(最近では抗体触媒をも含めて)をまとめて呼ぶ言葉です(いずれにせよ、生体触媒=酵素としても、差支えないと言えます)。合成化学を基盤として生体触媒を取り扱う学問が「生体触媒化学」で、比較的最近使われるようになった言葉です。今後益々の発展が期待されています。

研究課題

  • 生体触媒を用いた有用物質の合成研究
  • 環境にやさしい有機合成反応の開発研究
  • 生体触媒の機能解明

研究例

ポリマー・生体触媒を用いる有機合成化学

 自然界には、右手と左手のように重ね合わせることのできない鏡像関係の物質が多く存在しています。一方の鏡像体がより多く存在している場合、それを「光学活性物質」といいます。光学活性物質には、医薬品等、社会的に有用なものが多く知られています。私たちの研究室の大きな目標の一つが、光学活性物質の合成を如何に環境に優しく、容易に作るかを研究することです。そこで、バイオテクノロジーを有機化学に応用し、天然にある無害な酵素を用いた光学活性物質の合成法の開発を試みています。

(1)可溶性ポリマーを活用した酵素反応の開発
 一般的なもの作りでは、反応を行った後に不要なものを除去する作業をしなければなりません。しかし、それには多くの労力やたくさんの廃液がでる問題があり、環境にもよくないという側面があります。私たちは炭素と酸素と水素のみで構成されているポリエチレングリコール(PEG)と呼ばれる可溶性ポリマーを酵素反応に応用しました。PEGは特定の溶媒(メタノール、水など)に溶解するけれども、ジエチルエーテルに加えると固化(固体の塊になる)する性質を持っており、不要な反応剤や溶媒との分離が簡単に行える点が優れています。私たちはPEGを活用して化合物Aを作り、酵素をはさみのように使って目的の鏡像体だけを切り出すことで、光学活性な化合物Bを得ることに成功しました。しかも、化合物Bおよび残ったポリマーA(赤玉)は、ろ過という単純な操作で容易に分離することができます。技術的にかなり難しい反応・操作を、酵素とPEGが可能にしてくれました。


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(2)酵素反応と有機合成反応を組み合わせた有用物質の合成
 私たちの最新の研究成果です!
 右図に示す様な、簡単に外れやすい「脱離基」を持っている光学活性体は、様々な形に変換できるので大変有用です。私たちは、「酵素加水分解反応」と「不溶性ポリマー(青玉)を鍵試薬とした有機化学的立体反転反応」を組み合わせることで、高収率で純粋な光学活性体の誘導に成功しました。反応の効率性が高いだけではなく、不純物が極めて少ないことが特徴です。これにより、生成物を単一にする操作が容易で、環境に優しい反応系を構築することができました。

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主な論文・著書

  • K. Matsumoto, T. Iwata, M. Suenaga, M. Okudomi, M. Nogawa, M. Nakano, A. Sugahara, Y. Bannai, and K. Baba, Mild oxidation of alcohols using soluble polymer-supported in combination with Oxone: Effect of a basic matrix of TEMPO derivatives”, Heterocycles, 2010, 81 (11), 2539-2553.
  • M. Okudomi, K. Ageishi, T. Yamada, N. Chihara, T. Nakagawa, K. Mizuochi, and K. Matsumoto, “Enzyme-mediated enantioselective hydrolysis of soluble polymer-supported carboxylates”, Tetrahedron, 2010, 66 (40), 8060-8067.
  • M. Okudomi, M. Shimojo, M. Nogawa, A. Hamanaka, N. Taketa, T. Nakagawa, and K. Matsumoto, “Easy separation of optically active secondary alcohols by enzymatic hydrolysis of soluble polymer-supported carbonates”, Bull. Chem. Soc. Jpn., 2010, 83 (2), 182-189 (Selected Papers).
  • Y. Shimada, K. Usuda, H. Okabe, T. Suzuki, and K. Matsumoto, “Deracemization of 1,2-diol monotosylate derivatives by combination of enzymatic hydrolysis with the Mitsunobu inversion using polymer-bound triphenylphosphine”, Tetrahedron: Asymmetry, 2009, 20 (24), 2802-2808.
  • Y. Shimada, H. Sato, S. Mochizuki, and K. Matsumoto, “Preparation of optically active 1-O-alkyl-3-O-arylsulfonyl-sn-glycerol derivatives: substrate engineering in enzyme-mediated enantioselective hydrolysis”, Synlett, 2008, (19), 2981-2984.
  • 幸書房「生体触媒化学」2003年9月.

所属学会

  • 日本化学会
  • 有機合成化学協会
  • American Chemical Society